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学会開催に直面して
第14回近畿学校保健学会 会長 永井 豊太郎
I ご挨拶
大阪で開催された第13回の本総会で、この学会員としての経験の浅い不肖私が会長を引受けなければならぬ羽目になったとき、正直なところ全く当惑いたしました。しかし地元奈良県の先輩の方々を始めとして諸先輩方々の力強いバックアップを得てお引受けを決意した以上、べストを尽してこの重責を果し御好意に報いたい所存でございますので、ここに改めて全会員の諸兄諸姉の暖いご援助をお願いいたす次第でございます。
II 学会の組織
3年余の本学会員としての経験により私は次の事実を知ることができました。@本学会の意義は学校保健の現場よりテーマを求め、これを検討の末現場に返すことにある。A従って学校保健の現場である学校保健会とは全く車の両輪の関係にある。このことから関係大学自体は協力指導機関でおさまっていてもよいが、保健学会は保健会と一体化することによってその目的が達成されるのではないかと私は思いました。
次に学校保健は内容的に見て保健管理と保健教育とに分類されていることはよく知られたことであります。青少年の非行化防止に於ける環境の浄化と精神力の鍛練、交通事故防止に於ける道路など施設の整備と被害者に対する安全教育など、あらゆる場合に楯の両面があることを知らねばなりません。しかし安全教育の徹底によって或る程度の施設の不完全をもカバーすることも可能であろうし、強い精神力によって環境の不良にも負けない立派な社会人となることも可能でありましよう。如何なる法規が作られても遵法精神の欠如した人々には何の効果も示されないでしょうから、教育こそ重要であるという意見も当然であろと思われます。
それは兎も角として学校保健会における学校医、学校歯科医、学校薬剤師、養護教諭の方々は現状としては主として保健管理にあたり、学校長、保健主事、保健体育教諭の方々は主として保健教育を担当されているものと見てよいと思います。
これらの専門職域をこえて一処に共通の学校保健のテーマを研究し話し合う場学術部会(仮称)それが保健学会の姿であって、私共教員養成の仕事にたずさわっているものはこの学術部会に任意加入することによって保健学会も地についたものとなり学校保健の強化に役立つものと考えられます。
この構想は昨年11月1日京大における学校保健懇談会の成果であり私の考えでもあります。今回の第14回保健学会の開催に直面してこれが実現に努力いたしましたが、ほうぼうの壁にぶつかり血みどろになりました。今回のところは近畿学校保健学会、県教育委員会、県保健会の三者共催を明らかに表に打出したことに過ぎなかったことを甚だ残念に思っております。地元の皆様とたびたびの会合会談の結果一つの大きな壁は近畿学校保健学会の組織化がまだ出来ていないことにありました。この点関係諸先輩の絶大な御尽力をお願いいたします。
III 学会へのいざない
一般講演は現場に直結したもの、現場に応用して役に立つものを歓迎いたします。永らくの努力の結晶を僅か8分間ではという御意見ももっともですが、その全貌を簡潔に人にわからしめる練習には又とないよい機会です。演題と同時に送って戴く抄録は400字詰原稿用紙2枚程度、口演の原稿は4〜5枚程度でいいでしょう。学会は又聞き上手になる練習にもよい機会です。演者の努力に常に敬意を表し合点のいかぬ点には、怯まず且つ穏やかにお聞きいたしましょう。討論は勇ましいですが後味が矢張り悪いものです。
特別講演とシンポジウムにはデラックス版を用意いたしました。京都大学の川畑先生に『発育促進に関する考察』と題してデータに基く先生の薀蓄を傾けていただくことになりました。先生は公衆衛生に学校保健に行くところ佳ならざるはなく人に数倍する業績を持たれております。識見、構想、研究過程など必ずや皆様に何物かを得ていただけると思います。
次に最近の青少年の死因の約半数が病死以外の外因死に基いている。その事故死の大部分が水と車によっていますので安全教育が大きな関心事であります。今回シンポジウムとしてこのテーマをとりあげ、主として現場の先生方に実状を話していただいた後、近畿学校保健学会のもつ一つの誇り斯界のエキスパートの天理大学の橘先生にとりまとめていただく予定であります。
すべてが終ってからは、ビールを酌交わしながら、日本のふるさと大和の一角で、遠く我が民族のありし方を偲び、緊張から弛緩へのリズムの一節を楽しんでいただく趣向、ぜひ御期待下さい。
――昭和42年3月31日 近畿学校保健学会通信 No.10 より――
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