近畿学校保健学会

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 近畿学校保健学会へのそのときどきの想い 第 II 期
 

ひとりごと

奈良県学校医会  小林 秀男


 本年学会が奈良県で行なわれるに際し、ふだん考えている事を述べてみたいと思う。さて、私達学校医は何をしているのだろう。毎年くりかえされる健康診断、予防接種、夏季及び冬季の健康行事の為の健康相談、進学、就職、競技会の為の健診等、これでも本当にWHOに言う健康の憲章に基づいた保健活動を充分に行なっているのだろうか。ただ病気の予防、治療や傷の処置に力を入れているだけの事である事を認めるものの、これでは、やっと健康保持にすぎず、本当の健康増進に役立っているだろうか。

 学校医はただそれらの事を機械的にやっていればよいとも考えられるが、もっと勉強して大きい視野からそれらの意味する事と、それに伴なうこれらの指導をまなばねばならない。その為にこそ学校医は本会に参加して自分自身の再教育をしたいものだ。私も学校保健と言うものは、子供の健康保持及び増進の為の教育であると考えている。子供の『知』『徳』『体』の教育の内、『体』の教育者として、又学校長の女房役として様々の学校行事を通じて、その保健計画の立案と実施に専門的事項に関する指導をしなければならないものと考えている。

  満6才から小学校に入り、高等学校を卒業する18歳までの長い期間、将来の日本、いな世界をリードする夢をもつ子供をそだてている私達には重大な責任がある。弱い子にはそれなりに、強い子、賢い子にはその様に本人の能力を発達させなくてはならない。体さえ丈夫であれば夫々の努力により、のびていってくれる事を希望する。これらも学校医の責任だ。その為にこそ私達は学校保健推進の勉強をしなければならない。
 
  この様な事を考えていくと本会が益々発展し、単に研究の為の研究ではなく、研究した事項を学校に持ち帰り、一般の教師のみならず、父兄にも伝え、学校教育の一部いな第一番に考える事として取りあげ、私達学校医が指導しなければならない。又学校で『悩み』になっている事も学会に持出し、専門の先生の意見をきき学会と学校現場の間に太いパイプを通す事が必要である。
 
 これらの事を行なう場合、時間と体力が必要である。その為にこそアイディアが必要である。このアイディアは様々の会に出席する事の内に発見出来るのである。しかしそれを実行に移すとき学校医一人ではとても努力のいる事である。校長も、保健主事も、養護も、勿論一般の先生も、更にPTAも動員し手助けをしてもらはなくてはならない。そして子供達に夢のある未来の窓をあけ、明るい光に当ててやりたいものだ。学校が上級学校への予備校化しているのは残念だ。日本人の寿命が長くなったとはいえ、一生の内の十数年をすごす学校生活は健康的で、楽しい、のびのびした思い出一杯にしてやりたい。その為にも時間と体力を使って成功したデーターのみでなく、むしろ失敗したデーターも出して頂き討論したいと考えている。
 
  最後に本年の学会は県学校保健会も、県教育委員会も協賛されるとのこと、今までの学会以上にすぐれた運営がなされ、近畿学校保健学会のエポックになり大きな成果が生まれる様に期待している。

――昭和42年3月31日 近畿学校保健学会通信 No.10 より――

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